セフレメンタル南向き
MORE…

セフレ関係からマウンティング要素を排除していくために

セフレという「肉体関係のみ」で成立し、セックスによって繋ぎ止められている男女のやや特殊な人間関係は、多くの人にとっては、それほど肯定的なものとして理解されている関係ではありません。

自分と誰かの関係を聞かれたときに、それが「友人」や「恋人」や「伴侶」などであってみれば、(なにか特別なやましい事情でもない限り)その関係について尋ねてきた人間に対して、何も隠すことなく、自分たちの関係を相手に抵抗なく伝えることができるでしょう。

ところが、これがセフレであった場合、話は別であると言わざるをえません。

「実は、あの人は私のセフレでしてね。お互いに相手の肉体とセックスにしか興味がない間柄なんですよ」というようなことを、関係を尋ねてきた好奇心旺盛な相手にあけすけに話してしまうということはあまり考えられないことであり、大抵の場合、おそらくは「まあ、友達ですよ」というように話を濁して、セフレ関係であるということはなるべくバレないように二人の関係をごまかしながら説明することになるでしょう。

セフレ自慢をする男性たちのマウンティング

一方で、「自分が誰かとセフレ関係を築いている」ということを積極的に自分から口にするタイプの人もいます。そういったタイプは、どちらかというと男性に多い傾向があります。

「セフレと呼べる関係性の相手がいる」「より多くの異性とセックスをしている」と公言することが、自分が所属している男性のコミュニティ内において「男性」としての強さを証明し、その強さを誇示し、同じコミュニティ内に属する他の男性に対してマウントをとるような機能を果たす場合、セフレという関係性は積極的に明るみに出され、おおっぴらに自慢される話題になります。

セフレというものを「男性」としての強さを示すステータスとして考えている男性が、他の話題として持ち出す傾向にあるのは、「学歴」「年収」「能力」などの退屈な自慢です。セフレという話題は、これらのラインに並んでいます。

女性という存在を、自分の男性としてのステータスを高めるための「道具」としてしか考えていないというのが、セフレという関係性が他者へのマウントとして機能してしまうような男性コミュニティに属している男性たちに共通して備えられた特徴であるといえるでしょう。セフレを作ろうとする男性の欲望は、性欲だけではなく、このマウント欲がかなり加担しており、セフレづくりのモチベーションを支えていることは疑いようがありません。

性行為は女性に対するマウンティングでもある

そもそも、こういった男性にとっては、「セックス」という行為それ自体が、他の男性たち以上に、「女性」という存在の優位に立つための行為として行われるものです。

セフレを相手にした、女性という存在を性処理の道具としてのみ扱うセックスは、男性器一本で女性を支配しているという感覚を男性に与え、その男性の優越感を満たす効果を持っています。

セフレを探している男性に理想のセフレ像を尋ねたとき、挙げる要素として「いつ呼んでもすぐに来てヤラせてくれる都合のいいセフレ」というものが出てくる場合、セックスを通した「女性に対するマウント行為」をするにあたって、相手の女性が「自分の言いなりになっている」という状況、権力の勾配関係が、そのマウント行為のキモとなる部分を充実させ、興奮させるからにほかならないでしょう。

マウント気質の男性は女性に優位に立たれることを恐れる

マウント気質がある男性にとって、自分に歯向かってくるような女性はセフレの相手として論外です。

自分の絶対的な優位が少しでも脅かされる気配が感じられると、マウントをとる気質の男性は身構えてしまいペニスが萎縮してしまうこともあるくらいなのですが、自分の存在が否定されて見下していたはずの女性と同等の立場に立たされる恐怖になんとか立ち向かい、それを克服し、ペニスを隆起させるために、マウントをより激化させてきます。

「自分はお前のことを性欲処理の道具として扱うし、もし自分に惚れていたとしても絶対に恋人みたいな扱いどころか、人としても扱わないで生きたオナホとして扱うけど、自分には逆らわずに口答えもせずに、下の口でペニスをくわえて、いつでも従順で都合のいい存在でいつづけろ、それが無理なら捨てるだけ」というのが、セフレをなんとかキープしようとするときのマウント男性の言い分でしょうし、マウントをとる立場からすると「捨てる」という行為もまた快楽であることは言うまでもありません。

セフレ関係を持つ女性はマウント気質の女性を刺激する

さて、女性の場合は、「自分が誰かとセフレ関係を築いている」「より多くの異性とセックスをしている」ということは、コミュニティ内部でステータスになったりマウントをとる機能を果たすことがあまりありませんし、「ヤリマン」と呼ばれるような性的に逸脱している女性に対する視線も表面上は厳しいですから、「はばかられる話題」としてどちらかというと消極的に扱われる傾向があります。

「男性とセフレ関係を築いている女性」が受け入れられない気質のコミュニティであった場合、「セフレ関係の男性がいる」という事実は、女性にとっては、コミュニティ内の他の女性に絶対にバレてはいけない下品な事実であるということになるでしょう。

このようなセフレに寛容ではないコミュニティにおいて、コミュニティ内部の女性にセフレ関係がバレてしまった女性は、その女性のいない場所において「あの人はセフレとセックスをしている」ということが話題の中心となり、「会話のための会話」や「噂話」の暇つぶしのネタとして消費され、陰湿な同質性を確かめ合うための生贄として捧げられることになるでしょう。

女性同士でマウントをとりあう環境、マウントの関係性の網目のなかで「セフレバレ」することは、女性のコミュニティ内で「力」を掌握しようとしている女性に対して、格好の「弱み」を提供するということになります。

コミュニティの気質によってセフレはNGである

「若くて魅力的な肉体の持ち主である」「異性からモテる」ということを主張して他の女性にマウントをとりたい(マウントがとれる)と勘違いしている思慮の浅い女性である場合、これらの「セフレに対して寛容ではないコミュニティ」に向けてうっかりとセフレ自慢をしてしまうことがあります。

ですが、このような振る舞いは、女性の閉じたコミュニティの内部においてはマウントをとる行為としてはかなりの悪手ということになるでしょう。

性的に不寛容な女性コミュニティであった場合、セフレ関係の公言は、「性的に堕落した女性」としてコミュニティ内部で見下していいという判断を招く危険性が強いことを忘れてはなりません。

マウントをとるつもりが、マウントをとられ、コミュニティを維持するための「陰口」の「公認の対象」になることうけあいです。

しかし、これは、コミュニティの気質にもよる問題ですから、一概にそうだと断言できる話でもありません。ある程度は、一面的な話に過ぎない、と聞き流してくださって構いません。

これは、女性に限らず、男性のコミュニティにおいても、もちろんそうです。

セフレ関係の有無や、セフレの数などを自慢してマウントをとれるなどと考えているような幼稚な精神性の男性は「くだらない」と一蹴されてしまう成熟した男性コミュニティも、それほど多くはありませんが、確かに存在します。

セフレに対して肯定的なコミュニティ以外は警戒したほうがよい

酒席になるとセックスの話などで大いに盛り上がる女子会などが頻繁に開催される性的におおらかな女性たちのコミュニティであった場合、セフレという話題は、むしろ積極的に取り沙汰される主要なテーマであり、盛り上がりが白熱を極めるセックストークに華を添える欠かせない話題だということになるでしょう。

セフレという関係性について話すのであれば、やはり、それはセフレという関係性についてよく知っており、また、セフレという関係性に肯定的な相手、単純にセックスが好きな相手、性的な話が好きな相手に限って話題に出すに越したことはありません。

友人、知人などとの付き合いのなかで「これは、セフレの話は無理そうだな」と判断したならば、みずからのセフレ関係についての話は、なるべく胸のうちにしまい、また、心労はあるかもしれませんが、極力バレないように警戒して日常生活を送ったほうがよいでしょう。

もちろん、セフレ関係をひた隠しにしていたにも関わらず、どこからか噂が流れ、すべてが筒抜けになっていてバレバレである場合は、もうどうしようもありません。

セフレを作る以上、自分がいない場所などで、友人、知人のグループなどが、セフレ持ちである自分にまつわる「噂話」や「批判」などがされている可能性があるということは、つねに念頭に置いておいてもよいのではないかと思います。

セフレづくりは理解を拒む孤独な営みである

女性同士のマウント合戦の場における「噂話」などに耐えられない気質であるのであれば、はじめからセフレを作るべきではないのかもしれません。

あるいは、そのような「噂話」などをしあうことでかりそめの絆が保たれているような女性同士のコミュニティなどと「友人」という関係性でありつづける必要はない、といいかえてもよいでしょう。

これが「友人」ではなくて「職場の人間」程度の距離感であった場合は、「所詮、職場の人間なんて職場の人間でしかなく、取るに足らない関係でしかない」と断言できる程度のタフネスが求められるかもしれません。

職場の人間の噂になったくらいでセフレ関係をやめてたまるもんですか、というような、マウントをものともしない、陰湿な圧力を跳ねのける不屈の精神を持っている女性は、セフレづくりにかなり向いていると思います。

このような女性コミュニティからの孤独に平気で耐えられる不屈の精神を持ったセフレ気質に溢れた性的におおらかな豪傑女性たち同士のセフレトークにおいては、男性のときのような、「セフレがいる」という事実やその「数」などで他人とマウントをとりあうというようなくだらない競り合いはおそらく起こらないのではないかと思われます。

不退転のヤリマンたちから始まるセフレ関係の明るい未来

これらの強靭なセフレ気質を持った、不退転のヤリマン同士の会話においては、セフレ関係を築いた男性たちの性的に間抜けな特徴や言動、セフレとなった男性器の品評会、より快楽的なプレイのアイデア、セフレ関係を築いた男性とのトラブルと対処法、セフレ男性のブラックリストの作成などを通し、それぞれのセフレ暮らしを披瀝しあうことで、より豊かなセフレライフを送るための対話の場が開かれることになるでしょう。

この対話の場においては、女性に対してセックスを通してマウントをとり優位に立とうとする男性たちの思い上がった陰茎を確実に自信喪失させてインポテンツに追い込んでいくための戦略などが語り合われることを期待します。

そして、女性に対してマウントをとるという目的を抜きにして、セフレとなる女性と対等な立場でセックスをし、人格を慮ることができる男性を選別して育てあげ、そういった男性とセックスを通して共闘していくためのエクスタシーへの道が探られていくといいのではないかと私は考えております。

しかし、いまのところは、マウント気質の男性を女性が拒否するところからセフレにまつわるすべての悪循環が断ち切られてついにまともなセックスが始まるのではないか、という提言だけでひとまずとどめておくとしましょう。